サウナの話題でよく耳にするのが「整う」という表現です。
「ととのう」という言葉は2021年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされるほど話題になりました。
毎日忙しいサラリーマンの方たちの中には、日ごろのストレスの解消法として、また、新たな趣味として、サウナが気になっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、サウナ愛好家、通称「サウナー」たちがよく使う「整う」という言葉の意味や、「整う」ための入浴法について解説します。
そもそもサウナとは

サウナとは、フィンランド発祥の温浴法です。遠赤外線や電気、薪などで高温になったサウナ室に入って体を温め、発汗を促します。
サウナストーンと呼ばれる石に水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」も人気です。
入浴後は雪に飛び込んだり、水中に入ったり、外気で休憩を挟んだりしてクールダウンします。
その後再びサウナに入るという「温冷交代浴」が一般的です。
現在はブームが起こるほど人気になっており、疲労回復や心身のリフレッシュができるということで、日本のみならず、世界中で人気を博しています。
また最近ではドイツ発祥のサウナ室で行うタオルパフォーマンスであるアウフグースも人気で2023年は団体の部で日本代表が優勝するなど大きな盛り上がりを見せています。
サウナで「整う」とは

サウナ用語の「整う」とは、「サウナ・水風呂・外気浴」を繰り返すことで心身ともに深いリラックス効果を得られる現象です。
サウナで「整う」とリラックスできるだけでなく、頭がスッキリするような感覚を得ることができると言われています。
日常とは全く違う爽快感は「究極の快感」とも呼ばれます。ストレスの多い環境で戦う社会人にとっては、ぜひ取り入れたい生活習慣ですね。
サウナで「整う」メカニズムを科学的に解説

サウナで「整う」と、なぜ非日常的な快感を味わうことができるのでしょうか。
「整って」いる時、身体の中で何が起こっているのか、科学的に解説します。
「整う」時に影響しているのは、交感神経と副交感神経の切り替えです。
サウナで体を温めることによって、頭と身体は一気に興奮状態となり交感神経が活性化されます。
そして、交感神経が優位になると血中のアドレナリンの濃度も上がるのです。
その後、水風呂で一気に体を冷やすと身体はリラックス状態となり、副交感神経が優位になります。
自律神経はほぼ一瞬で切り替わる性質を持っていますが、血中のアドレナリン濃度はすぐには下がりません。
つまり、水風呂から上がった直後は「副交感神経によってリラックスしている状態」と
「アドレナリンによって興奮している状態」が同時に起こっているのです。
このように、「整って」いる時、身体の中では、日常生活ではほとんどあり得ないことが起こっています。この特殊な状態が、非日常的な快感につながるのです。
血中のアドレナリン濃度は2分くらいかけて下がるため、外気浴によってこの状態は
リセットされます。
それにより、再び「整う」準備ができるのです。
サウナで「整う」ための入浴法

サウナで「整う」には、サウナ5分、水風呂30秒〜1分、休憩(外気浴)5〜10分を1セットにして、2〜3セット繰り返すことが目安とされています。
サウナに慣れてくると、サウナに入る時間を5分より長くする人が多いです。
サウナに入る時間や一連のセットの回数は体調によって調整する必要があります。
また、サウナに入る前後には、忘れずに水分を補給しましょう。
サウナで「整う」ことによる健康効果
サウナで「整う」と、深いリラックス効果を得ることができます。
また、サウナに入ると大量の汗をかき、温熱効果により血行が促進されるため様々な健康効果が期待できます。
ストレス解消・疲労回復効果

サウナで「整う」と、スポーツなどの肉体疲労が回復するだけでなく、精神的疲労の回復にもつながると言われています。
「整う」こと自体、非日常的なリラックス効果を得られるのですが、熱いサウナに入ると、余計な考え事をしにくくなり、脳を休ませるという効果も期待できます。
精神的疲労やストレスの解消には、ぬるめのサウナに長時間じっくり入るのが効果的です。
70度くらいの低温のサウナ室で心を落ち着かせじっくり汗をかくことで、気持ちが穏やかになり、心の疲れが癒されることになります。
肩こりの改善

サウナに入ることで、肩こりを和らげる効果も期待できます。
肩こりの主な原因は、筋肉の過度な緊張と血流不足とされています。
サウナに入ると温熱効果により、凝り固まった筋肉がほぐれ血行が促進されます。
さらに、肉体疲労の原因物質である乳酸を大量の汗とともに排出させる効果も期待できるため、肩こりに悩む人にもサウナがおすすめです。
ダイエット効果

サウナに入る前と入った後で体重を測ると体重が減っていることがあります。
しかし、これは汗をかくことで大量の水分が失われたためで痩せたわけではありません。
とはいえ継続的にサウナを利用することで痩せやすい体質に導くことは可能です。
サウナで汗をかくことで身体の中の余分な水分や塩分が排出されるため、むくみの改善が期待できます。
ダイエットには適度な運動とバランスの取れた食事が不可欠ですがサウナで全身のむくみを取り除くことによってより効果的なダイエットが期待できます。
安眠効果

サウナに入ると、大量の汗をかくため、運動をした後のような疲労を感じます。
この「適度な疲労感」によって寝つきがよくなります。
さらに、サウナで「整った」あとは、リラックスした状態で眠りにつくことができるので
睡眠の質の改善も期待できます。
自律神経の安定

サウナと水風呂の「温冷交代浴」を繰り返すと、自律神経を鍛えることができます。
自律神経を鍛えておくと日常生活でも、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われるようになります。
自律神経のバランスの改善は身体だけでなく心もバランスの良い状態に導いてくれます。
心身の健康を保つのにとても役立つでしょう。
体臭の改善

サウナには汗腺や皮脂腺の働きを改善するため、きつい体臭を軽減させる効果も期待できます。
サウナで身体を温め、体温を約38℃まで上昇させると全身の汗腺から汗が出るのと同時に、毛穴にある皮脂腺から余分な皮脂が排出されます。
これによって汗腺や皮脂腺の働きが改善され、汗や皮脂と一緒に老廃物も排出されることから、きつい体臭の軽減・改善につながるのです。
サウナは一歩間違えると危ない!?

サウナで「整う」ことは様々な健康効果をもたらします。
一方でサウナの利用法を誤ると、脳や心臓に負担がかかったり、最悪の場合死亡事故につながったりします。
ここでは、サウナを誤った方法で利用することで引き起こされるリスクについて紹介します。
リスクを知ることでサウナの安全な利用法を把握し、身体に負担をかけることなく「整う」ことができるようにしましょう。
ヒートショックの危険

サウナで「整う」ためには、100度近い高温の室内に入りその後冷たい水風呂に入ることが必要です。
この状況は、高齢者が入浴中に死亡する原因となっている「ヒートショック」と同じといえます。
「ヒートショック」のメカニズムは、暖かい場所から急に冷たい場所に身体をさらすことで、交感神経が刺激されて血圧が急上昇し心臓に強い負担がかかることです。
それが原因で心筋梗塞を引き起こしたり、脳内の血管が破れて脳出血などを引き起こすのが、「ヒートショック」です。
ヒートショックはサウナから水風呂に入る時にも起こりえます。
水風呂の強烈な冷たさによって、血管は急激に収縮し、血圧が急上昇します。
誤った方法でサウナを利用すると、心臓や脳に負担がかかるので健康になるためのサウナで、逆に健康を損ねてしまう可能性があるのです。
そのため、サウナに慣れないうちは急激な温度差に身体をさらさないことをおすすめします。
初心者は100度を超える高温サウナは避け、温度の低いサウナから始めましょう。
また、サウナ室に入る時間を短めにしておくと安心です。
上級者も油断せず、体調の悪い時などは入浴を避けたり、サウナ室に入る時間を調整することをおすすめします。
脱水症状にも注意

サウナ室では汗をたくさんかくので、脱水症状を引き起こす危険があります。
脱水症状になると、頭痛・めまいなどが起こり、重症の場合は呼吸困難や筋肉の麻痺といった症状が現れます。
そして脱水症状も最悪の場合は命に関わることもあります。
脱水症状を起こさないために、サウナに入る前にはしっかりと水分補給をしておきましょう。
ただ、一度にたくさん水分を取ると尿として排出されてしまうので、水分はこまめに摂取する必要があります。
また、サウナの前にアルコールを飲むと、むしろ危険な状態を引き起こす原因になるため
水分補給としてアルコールを飲むのは絶対にやめましょう。
サウナを利用する時のマナー

サウナを利用するときは、マナーを守って入りましょう。
マナーを守らないと他の利用者に迷惑がかかるだけでなく、自分自身もリラックスできません。
一般的なマナーとして、まず、サウナに入る前に身体を清潔にするということがあります。
サウナ室に入る前には、身体や髪を洗いましょう。水風呂やお風呂に入る前も汗を流すのがマナーです。
また、サウナ室の中ではタオルを敷いて座るとお互いに気持ちよく利用できます。
ただ、タオルを使った場所取りはやめましょう。
そして、サウナ室の中では基本的に会話は控えましょう。大声で話したりすると周りの利用者に不快な思いをさせてしまうことになります。
大部屋のサウナでは、それぞれの利用者がマナーを守ることで快適な環境で「整う」ことができます。
サウナに入れる施設
サウナに入れる施設はサウナ専門店だけではありません。
温泉・銭湯・スパといった温浴施設のほか、スポーツジムやホテル・旅館でもサウナに入ることができます。
ただ、サウナ好きにおすすめするのはやはりサウナ専門店です。
専門店以外のサウナでは休憩をできるスペースがないことがあります。休憩ができなくては、「整う」ことができませんよね。
サウナ専門店以外の施設でもサウナが充実しつつありますが、間違いなく「整える」サウナ専門店を選ぶのが良いでしょう。
さいごに~理想のサウナの条件とは~

サウナは好きだけど、なかなか理想の施設に巡り合えないという人も多いのではないでしょうか。
ここではサウナに関するよくあるお悩みと理想のサウナについて考えます。
過ごしやすい環境
普段は1人でサウナに行く人が多いと思いますが、たまには友人や同僚を誘って休憩スペースでまったり過ごしたいですよね。
しかし休憩スペースの椅子が足りないと気を遣ってゆっくりできないこともあります。
そんな気遣いが必要のないサウナ施設だと嬉しいですよね。またサウナ室の中では大きな声で会話をしないのがマナーです。
しかし、サウナ初心者が集まると、ついおしゃべりに夢中になってしまう人たちもいます。
サウナ通が集まる施設だったら最高ですね。
通いやすさ
周りの環境を気にしないでサウナに入りたい人には、個室サウナがベストかもしれません。
しかし、個室サウナを借りるのは予算的に厳しいという人も多いでしょう。
サウナが好きで週2回ぐらいのペースで通いたいという人には、コストパフォーマンスの良い施設がおすすめです。
また通いやすい立地にあることも重要です。仕事帰りに駅から歩いて通える距離にあれば嬉しいのですが
駅から遠すぎる施設だとやがて通うことがストレスになってしまいます。
予算面でも立地面でも気軽に通えるサウナ施設があったら嬉しいですね。